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 六時間目の英語のリスニングが終わった。
 今日の授業はこれでおしまい。
 チャイムとともに、ざわめきが始まった。
 みんあ、帰りの準備をする。
「月夏、帰ろうぜ」
 教科書をかばんにつめる月夏の肩を、ぽんとたたくシュウ。
 月夏とシュウは、今週の掃除当番はなし。
 これから校内掃除が始まるわけだけど、二人はすぐに帰れる。
 もう準備は完璧といわんばかりだ。

 シュウは部活をやっていない。
 その代わりなのか、スーパーでレジうちのバイトをしている。
 本当は校則で禁じられていることだが、バレなきゃいい。
 シュウはそういうやつだ。

 今日も三十分後には仕事が始まるらしく、帰りを急いでいた。
 高校生がバイトっていうと悪いイメージがあるみたいだけど、そんなシュウのことを月夏は尊敬している。
 自分が働くなんて考えたこともないのだ。
 それなのに、友だちのシュウはもう上をいっている。
 大人って感じがした。

「悪いな、シュウ。先に帰ってくれ」
 申し訳なさそうに月夏は両手を合わせる。
「放課後図書当番あるんだよ」

「ああ!」

 そうだよなっ、と、シュウはにやにや。
「んならしかたねーや。じゃ、オレ急ぐから」
 意味ありげな様子で、もう一度月夏の肩を思いっきりたたいた。

「なんだよ」

「がんばれよ」

 ??
 
 ったく、シュウのヤツ……。
 


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