(初回から犯罪者とは……)
どろぼうさんですよね?
不思議なものを盗みますね
何の意味があるのです?
そもそも、夜を盗もうなんて無理です。
盗めたとしても、夜明けは必ずやって来ます。
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そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。
わたしは犯罪者ではありませんから。
まあ、夜を盗んでいるっていうことについては否定できませんけれども。
実はわたし、太陽なんです。
今は人間の姿をしていますが、昼間は空に浮かぶ、あの太陽なんです。
だからわたしが顔を出すだけで、夜は簡単に盗めるんですよ。
管理人さんのいう通り、朝は必ずやってきます。
夜を盗んでも、結局は取り返されちゃいます。
“星”っていう、イキモノに。
星って小さく見えるのに,実は大きいでしょ。
わたしも人のことはいえないんですけど、そのすごさに一歩後ろにさがってしまうというか……
すみません。わけがわからなくて。
一番星っていう言葉、知っていますよね。
どの星たちよりも早く、外に出る星のことです。
それを見たら、なぜかわたしはあっという間に身を引いちゃうんです。
どこかに吸いこまれそうになるっていうか、力を失うっていうか、そんな感じになるんです。
昼間がんばりすぎたおかげで、だんだん体が下がってきちゃうからなんでしょうか。
わたしが下がりかけるその時間帯、いつもその星さんが顔を出すんですよね。
不思議なものです。
しかし、輝き続けるのがわたしの仕事。
休んでばかりではいられません。
休憩後は、ちゃんと顔を出します。
ってなわけで、あとはそのくり返し。
そうですねえ、一度でいいから24時間を達成してみたいです。
目標があるっていうのは、いいことでしょ。
それがあるからこそ、毎日こんなに輝いていられるんですよ。
がんばるぞっていう気になります。
わたしの夜奪還最高記録は14時間35分。
けれども、遠くにいる友だちは24時間をかるく越えたっていうんです。
しかもそれくらい続けられると、不思議な光景が見られるとかなんとか。
わたしが夜を盗む本当の理由はそこにあります。
見てみたいんです。
――その世界を。
***後日談***
お話をお聞きしたのは、実は夜中でした。
昼間はお仕事があるので、この時間にしてほしいといわれたからです。
そういうことだったのですね。
お話をまとめると、夜盗人さんが目標を達成した暁には夜が来ないっていうことです。
一日中が昼。
ずっと明るい日。
どんな世界なんだろう、暗くならない日って。
わたしも楽しみにしています。
一瞬だけ夜が来なかったら困るって思いましたけど、一日くらいならいいかも。
もし夜盗人さんが成功したら、わたしは何をしようかな。
寝るなんてもったいないです。
そうそう、夜盗人さんががんばっている姿を撮影させていただきました。
下の写真がそれです。
2004年1月1日 卯月未衣名